源泉徴収とは?給与天引きの仕組みを整理

源泉徴収とは?給与天引きの仕組みを整理

給与明細をひらいて、いちばん最初に目がいくのは差引支給額でしょうか。

総支給額との差を見て、「けっこう引かれているな」と思ったことがある方は多いはずです。

その差額のうち、税務署へ向かっていくぶんの入口が 源泉徴収

名前は知っていても、誰が誰のために何をしている制度なのかまで説明できる人は、そう多くありません。

ここでは国税庁の説明をたどりながら、毎月の天引きから年末調整までの流れをひとつづきの話として整理してみます。

源泉徴収は「払う側が先に差し引く」しくみ

源泉徴収とは、給与や報酬を支払う側が、受け取る側の所得税をあらかじめ差し引いて国へ納める制度のこと。

国税庁の説明では、会社や個人が人を雇って給与を支払ったり、税理士や弁護士に報酬を支払ったりする場合、その支払の都度、金額に応じた所得税および復興特別所得税を差し引くことになっています。

No.2502 源泉徴収義務者とは|国税庁

ここで大事なのは、納税者は受け取る側なのに、納付という手続きは支払う側がやっているという点。

会社は自社の税金を払っているわけではなく、社員の税金を預かって代わりに納めています。

だから「差し引いて国に納める義務のある者」を、制度上は源泉徴収義務者と呼ぶわけです。

義務者は会社だけではない

源泉徴収義務者になるのは、会社や個人事業主だけではありません。

学校や官公庁、人格のない社団・財団なども、給与を支払っていれば同じ立場に立ちます。

一方で、常時2人以下の家事使用人にだけ給与を支払っている個人は、その給与や退職金について源泉徴収をしなくてよいことになっていました。

いつまでに納めるのか

預かった税金は、原則として給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国へ納めます。

ただし、給与の支給人員が常時10人未満の事業所には、半年分をまとめて納められる納期の特例も用意されていました。

この特例を受けていると、1月から6月分は7月10日、7月から12月分は翌年1月20日が納付期限。

No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁

小さな会社の経理が「7月と1月だけやたら忙しい」と言うのは、この期限が理由だったりします。

なぜ毎月の天引きだけで終わらないのか

毎月きちんと差し引かれているなら、それで納税は完了しそうなものです。

ところが実際には、12月になると年末調整という仕切り直しが待っています。

理由はシンプルで、毎月引かれている金額があくまで「仮の金額」だから

月々の天引きは表を引いた概算

毎月の源泉徴収税額は、扶養親族の人数と社会保険料控除後の給与額をもとに、決められた表から機械的に決まります。

そこには、生命保険料控除や住宅ローン控除といった個人ごとの事情が入っていません。

さらに、賞与の有無や年の途中の昇給によって、年間の所得は当初の見込みからずれていくもの。

12月に本来の税額と突き合わせる

そこで、1年ぶんの給与が確定した時点で本来の所得税額を計算し直し、差額を精算する手続きが年末調整です。

国税庁は、12月に行う年末調整の対象を「1年を通じて勤務している人」や「年の途中で就職し年末まで勤務している人」と説明しています。

ただし、その年の給与の総額が2,000万円を超える人は年末調整の対象から外れるという線引きがありました。

No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁

12月の給与が少し多いと感じるのは、たいてい払いすぎていた分が戻ってきているからです。

復興特別所得税もセットで引かれている

給与明細では所得税とまとめて書かれていますが、そこには復興特別所得税も含まれています。

対象は平成25年1月1日から令和19年12月31日までに生じる所得で、合計税率は所得税率×102.1%という計算です。

No.2507 復興特別所得税の源泉徴収|国税庁

会社員がつまずきやすい3つのポイント

1. 年末調整だけでは終わらない控除がある

医療費控除やふるさと納税のワンストップ特例を使わなかった場合の寄附金控除は、年末調整では処理できません。

これらは自分で確定申告をしないと戻ってこないお金。

年末調整は「会社が知っている情報の範囲」でしかやり直せない、と考えると線引きが腑に落ちます。

2. 副業や退職の年はズレが出やすい

年の途中で転職した場合、前職の源泉徴収票を新しい勤務先へ出さないと、年末調整が正しく計算できません

出しそびれたまま年を越すと、自分で確定申告して精算することになるでしょう。

3. フリーランスへの報酬にも源泉徴収がある

会社員には縁がなさそうに見えて、副業で原稿料やデザイン料を受け取ると、源泉徴収された金額が振り込まれます。

このとき差し引かれているのは概算なので、確定申告で本来の税額と突き合わせれば、戻ってくることもあれば足りないこともある。

なお国税庁は、給与について源泉徴収義務を持たない個人が支払う報酬には源泉徴収が不要だとも書いていました。

会社員が確定申告のために税理士へ報酬を払っても、源泉徴収する必要はないわけです。

最後に

源泉徴収は、税金を取りっぱぐれないための国の仕組みであると同時に、大多数の人が確定申告をしなくて済むようにする仕組みでもあります。

毎月の天引きは概算、12月の年末調整で精算、それでも足りない部分は確定申告。

この三段構えを頭に入れておくと、給与明細の数字が「よく分からないけど引かれているもの」から「意味のある手続きの途中経過」に変わって見えるはずです。

戻ってくるお金は、黙っていても戻ってこない場合があります。

年末が近づいたら、控除の書類だけは早めに集めておきたいところ。

以上です。

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