求人票に「Staffエンジニア」という等級が並ぶようになり、テックリードとの違いが分からないまま眺めている人は少なくないはずです。
どちらも「シニアの先」にある言葉として使われるので、上下関係なのか、別物なのかが見えにくい。
私自身もテックリードの役割を学んでいる最中で、この2つの関係を整理するまでずいぶん遠回りをしました。
結論から書くと、Staffエンジニアは等級の名前、テックリードはその等級で担う役割のひとつという関係です。
Staffエンジニアは「等級」、テックリードは「役割」
まず言葉の層が違います。
Staffエンジニア(Staff Plus)は、シニアの上に置かれた個人貢献者(IC)としての等級を指す呼び方です。
一方のテックリードは、チームの技術判断に責任を持つ役割の名前でした。
だから「シニアエンジニアがテックリードを務める」ことも、「Staffエンジニアがテックリードを務める」ことも、どちらも成立する。
同じ土俵の言葉として比べようとすると、ここで必ず混乱が起きる。
テックリードという役割そのものの輪郭は、別の記事で整理しています。
Staff Plusには4つの原型がある
Will Larson が公開している StaffEng のガイドは、Staff Plus の働き方を4つの原型(archetype)に分類しています(StaffEng: Staff archetypes)。
Tech Lead、Architect、Solver、Right Hand の4つ。
Tech Lead は特定のチーム、あるいは複数チームの技術的な進め方をリードする原型です。
Architect は重要な技術領域の方向性と品質に責任を持ち、Solver は経営が名指しした難所へ単身で入って解決まで潜る。
Right Hand は最も稀な原型で、シニアリーダーの注意と権限を組織横断に延長する立ち位置とされています。
ここで押さえておきたいのは、Tech Lead は4つのうち最も一般的な原型であり、多くの人にとって Staff 級への入口になるという点です。
同ガイドは、おおよそエンジニア8人につき1人の Tech Lead が必要になるという目安も挙げています。
数が多いということは、それだけ組織が求めている役割だということ。
「Staffになる」と「テックリードを務める」は同じではない
紛らわしいのは、テックリードを務めていれば自動的に Staff 級になるわけではない点です。
等級は組織が定義するもので、役割は日々の仕事のかたち。
テックリードとして数年やってきたのに等級が上がらない、という食い違いは、この二層構造から生まれます。
同じ StaffEng のガイドは、会社によっては Tech Lead Manager という役職がエンジニアリングマネージャーのラダー側に置かれる点にも触れていました。
つまり「テックリード」という同じ言葉が、IC ラダーの役割を指す場合と、人の管理を含む役職を指す場合の両方で使われているわけです。
求人票を読むときは、肩書きではなく「評価されるのは何か」を見にいくほうが早い。
シニアからテックリードへ移るときに何が変わるのかは、こちらで整理しました。
目指すなら、どちらから考えるか
役割と等級のどちらから手を付けるかで言えば、先に役割を取りにいくほうが現実的です。
等級を決めるのは他者ですが、役割のほうは「その仕事を実際に引き受ける」ことで先に始められる。
設計の合意形成を回す、技術的な意思決定を記録に残す、チームの品質基準を言語化する。
こうした仕事は、肩書きが付く前から手を挙げれば担えるもの。
そのうえで、自分がどの原型に近いのかを意識しておくと、キャリアの説明がぶれなくなります。
チームに張り付くのか、領域に張り付くのか、難所に呼ばれるのか——この違いは、面接で語る内容そのものを変えてしまうのです。
最後に
Staffエンジニアとテックリードは、比べるものではなく重なるものでした。
等級としての Staff Plus があり、その中で最も人数の多い働き方が Tech Lead という原型。
肩書きの差ではなく、担っている役割の中身で自分の現在地を測る。
私も学んでいる途中ですが、この2つを分けて考えるようになってから、求人票の読み方がずいぶん楽になりました。
以上です。










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