私は個人ブログの記事を毎日AIエージェントに書かせていて、文体ルールには、毎日書かせ始める前から使っていたものを渡していました。
中身は、1文1段落、同じ語尾を2回続けない、文字に色を付ける強調(マーカー)を見出しごとに2〜4か所、といった決まりです。
2026年9月25日の下書き3本の文末を数えると、です・ます以外で終わる文が、多い記事で4割ありました。
語尾を散らすために挟まれた体言止め(名詞で文を終える書き方)と常体が、それ自体AIの文章らしさになっていました。
AIっぽい文章の原因がルールの側にあったことと、その直し方の記録です。
下書き3本の文末を数えた
数えたのは、同じ日にAIが書いた下書き3本です。
体験記事、AIの用語解説、Tech Leadの学習記事で、種類はばらばらでした。
体言止めか常体で終わった文の割合は、次のとおりです。
| 下書き | 最初の簡易集計 | 判定スクリプトで数え直し |
|---|---|---|
| 体験記事 | 42% | 40%(23/57文) |
| AIの用語解説 | 38% | 36%(20/56文) |
| Tech Leadの学習記事 | 32% | 25%(11/44文) |
最初は簡易な集計で数え、あとから作った判定スクリプトでも数え直したので、数え方の違いで少しずれています。
どちらの数え方でも、4文に1文から、多い記事では4割が体言止めか常体でした。
語尾のほかにも、目立つ偏りがありました。
- マーカーは1本あたり15〜18か所
- 括弧で用語を説明している箇所は1本あたり8〜10か所
- 書き出しの「〜したことはありませんか?」が、3本中2本でほぼ同じ形
- AIの用語解説の1本だけで、「〜とのこと。」が3回、「〜のが安全」「〜のが現実的」「〜のが手堅い」が合わせて3回
どれも1か所だけなら気にならない書き方ですが、3本を並べると同じ形が何度も出てきます。
ルールを守るほどAIっぽくなる理由
文末の偏りは、「同じ語尾を2回続けない」というルールから来ていました。
AIはこのルールを、体言止めと常体を順番に挟むやり方で守っていました。
体言止めも、常体のうちの動詞の言い切りも、旧ルール自身が語尾を変える手段として挙げていた形です。
Gitに残る最初の版(2026年4月)から、ルールには、同じ語尾を2回続けないことと並べて、体言止め・現在形・疑問形を織り交ぜるよう書かれていました。
2026年5月には、AIが書いた文章で語尾の連続が多かったためにルールを強め、言い換えの候補に体言止めと「〜と気づく。」のような動詞の言い切りを並べています。
説明用に作った例で比べると、次のようになります。
| 旧ルールを守った書き方(作例) | 新ルールでの書き方(作例) |
|---|---|
| 設定ファイルを開きます。 | 設定ファイルを開きます。 |
| 書き換えるのは1行だけ。 | 書き換えるのは1行だけです。 |
| 保存すると、すぐに反映されます。 | 保存すると、すぐに反映されます。 |
| 再起動はいらない。 | 再起動はいりません。 |
表の文は説明用に作った例文で、実際の下書きからの引用ではありません。
左の列もルールは守っていますが、丁寧体と体言止め・常体が1文ごとに入れ替わっています。
実際の下書きでも語尾の揺らぎが規則的になっていて、揺らぎそのものがAIっぽさになっていました。
ほかの偏りにも、ルールが関わっていました。
旧ルールは書き出しで読者への問いかけを1回入れる形にしていたので、3本中2本の書き出しがほぼ同じ形の問いかけになりました。
マーカーも見出しごとに2〜4か所と決めていたため、見出しが5〜6個ある記事なら、それだけで10〜24か所になります。
決まり文句のほうは、ルールの穴をすり抜けて出ていました。
旧ルールの禁止表現には、「AI・論文調」として、「本稿」で始まる書き出しや「多岐にわたります」などが並んでいました。
下書き3本に多かった「〜とのこと。」のような言い回しは、どこにも禁止されていませんでした。
打ち消す癖をAIに合わせて書き直した
文体ルールは、書き手に出やすい癖を打ち消すための処方箋のようなものです。
書き手がAIなら、打ち消す相手もAIの文章に出ている癖にする必要があります。
そこで、残すものと変えるものを分けてルールを書き直しました。
残したのは、1文1段落、です・ます調、起きていないことや確かめていないことを書かない誠実さなどです。
変えたものは次のとおりです。
| 項目 | 旧ルール | 新ルール |
|---|---|---|
| 語尾 | 同じ語尾を2回続けない | 同じ語尾は3文まで。4文目は丁寧体の別の形にする。体言止めと常体は記事全体の1割まで(ゲーム記事は2割) |
| マーカー | 見出しごとに2〜4か所 | 見出しごとに1か所、記事全体で6か所まで |
| 読者への問いかけ | 書き出しに1回入れる | 任意(入れなくてよい) |
| 使わない表現 | 論文調の定型句など | 下書き3本で多かった決まり文句を追加 |
使わない表現には、下書き3本を数えて多かった次の言い回しを足しました。
- 文末の「〜という点。」「〜とのこと。」
- 前置きの「ここで押さえておきたいのが」
- 締めの「〜はず。」
- 「〜のが安全でしょう」「〜のが現実的でしょう」のような勧め方
もう1つ、書き分けの軸も変えました。
以前は、共通の芯にカテゴリごとの差分を重ねる形で、書き手の像を決めていました。
その設計は、前に書いた記事にまとめています。
新しいルールでは、カテゴリの代わりに記事の型(体験記録・解説・学習ノートなど)で書き方を分けます。
同じAIカテゴリの記事でも、自分で試した記録は一人称で書き、用語の解説は公式ドキュメントなどを根拠にして体験談を足さない、というように書き方が分かれます。
同じ28文を新旧のルールで書き比べた
書き直したルールで実際に変わるのかを見るため、下書きの5か所・28文を新しいルールで書き直して比べました。
書き直した側はAIに書かせた試作で、見出し・事実・数値は変えていません。
| 数えた項目 | 旧ルールの元の文 | 新ルールの試作 |
|---|---|---|
| 体言止め・常体 | 10 | 0 |
| 読者への問いかけ | 2 | 0 |
| 決まり文句 | 4 | 0 |
| マーカー | 9 | 5 |
| 括弧での用語説明 | 2 | 0 |
数えた項目はどれも減り、体言止めと常体は10文から0文になりました。
一方で、新しいルールにも心配が残っています。
体言止めを減らしたぶん、丁寧体ばかりで単調にならないかが気になっています。
新しいルールで書いた記事が読みやすくなったか、検索での反応が変わったかは、まだ確かめていません。
試作で減ったのは数えられる癖の数で、読者にとっての読みやすさは別に確かめる必要があります。
数えられる項目はスクリプトで判定する
書き直したルールのうち、数えられる項目は判定スクリプトにしました。
見ているのは、文末の種類、同じ語尾の連続、マーカーの数、決まり文句の回数などです。
文末の分類では、丁寧体の語尾を長いものから順に当てて、どれにも当たらない文を体言止め・常体として数えています。
次のコードは、判定の中心部分を短く書き直した抜粋です。
POLITE = ["ませんでした", "ましょう", "ました", "ません", "ます",
"でした", "でしょう", "ですね", "のです", "です", "ください"] # 長いものから
def ending(sentence):
s = sentence.strip()
if not s.endswith(("。", "?", "!")):
return None # 文ではない行
core = s.rstrip("。?!")
for suf in POLITE:
if core.endswith(suf):
return suf # 丁寧体の語尾
return "plain" # 体言止め・常体
# ... 同じ語尾が4文続く箇所と、plain の割合を数える(略)
「ませんでした」を「でした」より先に当てているのは、短いほうを先に見ると別の語尾として数えられてしまうからです。
この判定に旧ルールで書いた下書き3本を通すとすべてNGになり、新ルールの試作はOKになりました。
数字で判定できるようにしておくと、ルールを見直すときも感想より件数で話せます。
ルールを変えた日より前に書いた下書きのために、文体だけを判定から外すオプション(--legacy-style)も用意しました。
ただ、まだ公開していなかった26本はその日のうちに新しいルールで書き直したので、このオプションはふだんの点検では使っていません。
ルールを変えるときは、古いルールで書かれた文書をどう扱うかも一緒に決めておく必要があります。
下書きを公開前に機械で点検する仕組みは以前から使っていて、文体の判定はそこに組み込んでいます。
その仕組みの作り方は、別の記事に書きました。
最後に
文体ルールをAIに渡すと、ルールを守るための手段そのものが新しい癖になることがあります。
文体ルールをAIに渡すときは、ルールがAIに何を強いているかを、出力を数えて確かめることが大切です。
そのうえで、打ち消す相手を、今の書き手であるAIの癖に入れ替えます。
数えられる項目をスクリプトに任せておけば、次に書き手やモデルが変わったときも、同じ物差しで見直せます。
以上です。









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