2026年9月21日(月)から9月27日(日)までの一週間に世に出た、新しいプロダクトを振り返ります。
スタートアップが出したもののうち、仕事や暮らしの詰まりを取るものを選び、出典つきで紹介します。
今週の核は、現場の人が一人で抱えていた判断を、記録とAIで支えるプロダクトが続いたことです。
なお9月27日(日)ぶんは次回にまわします。
現場の課題を解くもの ——山あいの現場、営業の電話、手術室
秋田の国際教養大学発の BearBell は9月24日、住民向けの無料アプリ「クマップ」を土台に、法人向けの企業版と開発版を出しました。
企業版は、拠点の周りのクマの出没情報をアプリ・メール・LINE で従業員に届け、誰がいつ確認したかと対応の記録を PDF や CSV で残せます。
山あいで点検や保守、建設、配送にあたる人の安全を、個人の注意と電話連絡から組織の記録へ移そうとしています。
東京の AnyGrab は9月24日、営業の電話や商談の最中に AI が「次の一手」を出す「AnyGrab for Live Assistant」を、招待制のクローズドβで始めました。
通話が終わると「次に変える一点」を保存し、次の通話ではその一点を中心に助言します。
研修で型を学んでも、本番の会話では一人で言葉を選ぶしかないという新人営業のつまずきを、実際の通話の中で支える作りです。
東京の Medical Strategy & Innovation は9月25日、手術室に特化した業務支援 SaaS「ScrubEdge」のβ版を発表し、テストモニターの医療機関を募集しています。
勤務希望からのシフト作成、手術予定と経験を突き合わせた日々の配置、術式と役割ごとの経験の記録を一つにつなぎます。
誰に何を任せられるかが担当者の頭の中にあり、若手の経験に偏りが出る課題に、配置を教育の設計として扱うことで向き合っています。
AIで「できない」をなくすもの ——契約の壁、書類の言葉、夜中の記録
東京の GotoAI は9月21日、パソコンで動く AI エージェント「Kari」を正式にリリースしました。
手元の PDF や Excel に加え、API の無い古い Web システムも AI がブラウザーを操作して読みに行き、データが AI に届かない壁を越えようとしています。
個人と100名未満の組織は無償で、Claude や ChatGPT の有料プランにサインインして使う設計です。
ただし、Claude のサブスクでの利用を Anthropic 側の条件で続けられるかは、公開情報だけでは確かめきれていません。
東京のフィシルコムは9月22日、就活・転職・採用の作業を AI エージェント向けの手順にまとめた「Otame4 Work Skills」の公開を告知しました。
自己分析や職務経歴書の添削、企業研究、内定条件の比較などを、事実と未確認のことを分けたうえで進めるように作られています。
自分の経験を応募書類の言葉に直すという、多くの人がつまずく作業を AI に引き受けさせる試みです。
GitHub で公開され、Claude Code などに1本ずつ入れて使います。
Agent Skills という形式そのものの仕組みは、こちらで整理しています。
福岡拠点の研究組織 Institute of LAG Research は9月23日、育児記録と家族アルバムの iPhone アプリ「めもり」を公開しました。
次の授乳や睡眠の予測、泣き声の検知、おむつ写真の読み取りを iPhone の中だけで処理し、手で入力する記録は無料で広告も出ません。
夜中に片手で記録を続けるつらさを端末の中の AI で軽くし、医療的ケアが必要な子の保護者には有料プランを無償にしています。
遅れていた領域を便利にするもの ——福祉の事業承継
東京の ONGROUP は9月24日、介護・福祉の事業に特化した事業承継のマッチング「ON M&A」のベータ版を始めました。
話し言葉で入力した内容を AI が案件情報に整えて匿名化を助け、実名はオンラインで秘密保持契約を結んだあとに開示されます。
福祉事業所の引き継ぎは対面の仲介に頼ってきましたが、譲渡・譲受の当事者は全機能を無料で使えるため、小さな事業者も入口に立ちやすくなります。
運営会社は M&A 支援も手がけるため、場として中立に運べるかはベータ後の運用を見る必要があります。
最後に
今週は、クマの出没情報、商談中の一言、手術室の配置と、現場の人が一人で抱えていた判断を支えるものが目立ちました。
私は現場の詰まりを取るプロダクトに目が向くので、来週も同じ視点で新しく出たものを追います。
以上です。









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