2026年10月5日(月)から10月11日(日)までの一週間に世に出た、新しいプロダクトを振り返ります。
スタートアップが出したもののうち、仕事の詰まりを取るものを選び、出典つきで紹介します。
今週の核は、紙やPDF、計器の目視で人が読み取って打ち直していた情報を、AIやセンサーが直接読み込む作りが続いたことです。
今週は14本で、前回から持ち越した10月4日(日)ぶんも含めています。
なお10月11日(日)ぶんは次回にまわします。
先週は、AIコールセンターや営業管理、残土のマッチング、圏外で使える点検アプリなど、事務をAIに任せるプロダクトを17本紹介しました。
現場の課題を解くもの ——営業、建設、工場
今週いちばん多かったのはこの型で、7本ありました。
営業
2023年設立の Translead は10月6日、営業支援のCRM「Translead CRM」がMCPに正式対応したと発表しました。
ChatGPTやClaudeとの会話から、停滞している案件の抽出や失注要因の集計、活動記録の登録、お礼メールや提案書のたたき台づくりまで頼めます。
ただし、答えの質はCRMにたまったデータ次第だと会社自身も書いています。
2023年設立の Effic は10月8日、AIセールスエージェント「Effic」に、サイトに常駐して訪問者に商品を説明する「Presenter」を加えました。
音声かテキストで質問に答えて関心を確かめ、その場で商談のアポイントや来店の予約まで確定させます。
営業時間外や検討の初期に来た見込み客が、人の手が回らずに離れていく課題に向けた機能です。
2022年設立の KASHIKA は10月7日、フォームやメールで新規開拓をする「AIアポろうくん」に、営業キャンペーン機能を正式に加えました。
目的と提供価値を入力すると、行動のシグナルがある約140万社から候補の企業を選び、送る文面まで作ります。
リストとテンプレートから始めると「誰に何をなぜ届けるか」があいまいになる新規開拓の組み立てを、AIが手伝う作りです。
2025年設立の LobbyAI は10月9日、自治体の議事録や計画を集めた公共情報のデータベースをMCPでAIにつなぐ「LobbyAI MCP」の提供を始めました。
ChatGPTやClaudeなどから議事録を何度も検索して根拠を確かめさせ、Excelの営業リストやPowerPointの提案資料まで作らせられます。
自治体向けの営業担当者が散らばった公開資料を一つずつ探す手間を、根拠資料へのリンクを残したまま減らす方向です。
建設と工場
建設の現場と工場の設備保全に向けたものは、3本でした。
2021年設立の Arch は10月5日、建設現場の安全管理SaaS「KY-NEXT」で、アカウント登録なしにKY(危険予知)シートを作れる機能の提供を始めました。
協力会社の職長は現場のQRコードをスマートフォンで読み取るだけで、KYシートの作成からヒヤリハットの報告まで済ませられます。
一人ひとりのアカウント発行とログインが壁になって紙のKYと併用が続いていた現場で、デジタル化が止まっていた理由を直接取り除く更新です。
2024年設立の KENCOPA は10月9日、建設専門の「Kencopa工程AIエージェント」に工程表のインポート機能を加えました。
ExcelやCAD、ほかのソフトで作った工程表をPDFでアップロードすると、AIが数分で読み取って編集できる工程表に変えます。
形式がばらばらで次の現場に使い回しにくかった工程表や、元請から届いた工程表の打ち直しを減らす狙いがあります。
シリーズAの M2X は10月7日、設備保全クラウド「M2X」に、センサーから計測値を自動で取り込む「メーター機能」を加えました。
PLCや電力計、温度計の値を設備ごとにまとめ、条件を超えると対応のタスクを作って知らせ、AIエージェントが推移や異常の兆しの確認を手伝います。
担当者が工場を回って計器を目で読んで記録する点検を、人が見張らなくても止まる前に気づける形へ移す一歩です。
AIで「できない」をなくすもの ——外国語、持ち出せない音声、3D設計
言葉や設備、操作の壁でAIや道具を使えなかった側に立つものが、3本ありました。
2026年2月設立の Atlas Support は10月3日、AI通訳つきの1対1のオンライン会議「Atlas Unite」の正式提供を始めました。
相手は登録も支払いも要らずブラウザから参加でき、発言が通訳の音声と字幕で届きます。
外国語に自信がなくても、通訳を頼むほどではない海外との進捗確認や日程調整を、自分で直接進められるようにする作りです。
2024年設立の mocomoco は10月8日、音声AI「モコボイス」のオンプレ版を、AIモデル入りのタブレット一式で試せるトライアルキットとして発表しました。
会議や面談、工場の作業記録の文字起こしと議事録づくりを、ネットにつながずに端末の中だけで済ませます。
音声を外に出せない医療や製造の現場に向けたもので、位置づけは正式版ではなく有償のトライアルです。
2026年2月設立、大阪のホルスAIは10月9日、手元のCADに入れて使う「Zumen AI」のアドイン版をリリースしました。
SOLIDWORKSやAutoCADなどの中でAIに指示し、2D図面から3Dモデルを作らせたり、アセンブリの仕様変更を編集させたりできます。
CAD操作の習得や過去の2D図面の作り直しが壁になっていた、機械設計の3D化を手伝う作りです。
遅れていた領域を便利にするもの ——守りの運用、子会社の会計、仕入、自治体のクラウド
人手と専門家に頼って回ってきた領域に向けたものは、4本でした。
2025年設立の SecuShard は10月5日、社内の共有ファイルを守るデータ保護製品「ONEデジGuard」の提供を始めました。
ランサムウェアらしい操作や大量の持ち出しを検知して止め、データを暗号化して断片に分けて保管し、壊れた断片は残りから立て直します。
セキュリティの専任担当者を置けない中堅・中小企業に向けて、監視と点検、復旧の運用ごと引き受ける製品として出しています。
2026年7月設立の ConFinanceAI は10月6日、子会社の月次試算表をアップロードするだけで会計不正の兆候を探す「FraudLens」の提供を始めました。
仕訳や会計システムとの連携は要らず、現地語の試算表のまま、約100本の事例に基づくルールで勘定科目の推移を見ます。
親会社の目が届きにくい海外子会社の不正は長引きやすく、数十社の数字を人の目で追い続けるのが難しい領域に向けたものです。
シリーズAのリチェルカは10月8日、仕入の計上を担う「納品消込エージェント」の本格提供を始めました。
書式の違う納品書や請求書をAIが明細ごとにデータにして発注データや買掛金と照合し、差異があるものだけを人が確かめます。
卸売の担当者が納品書を1枚ずつ見て基幹システムに打ち込んでいた作業を、全件の確認から例外だけの確認へ変える作りです。
2025年設立のマイクロニティは10月8日、ガバメントクラウドの費用を見える化する「srest」に、自治体ごとの削減見込み額を示す機能を加えました。
性能が過剰なサーバーの見直しや、使われない時間帯の停止でいくら減るかを出し、運用を補助する事業者が自治体へ提案する材料にします。
移行後に増える見込みの運用費を、利用データを1つずつ読む専門家に頼らずに見直せるようにする方向です。
最後に
今週は、営業の記録や自治体の資料、工程表、納品書といった、人が読み取って打ち直していたものをAIが直接扱う作りが目立ちました。
MCPでChatGPTやClaudeから直接触れるようにする動きも、営業向けで続いています。
私は現場の詰まりを取るプロダクトに目が向くので、来週も同じ視点で新しく出たものを追います。
翌週(10/12〜10/18)に出たものは、次の号にまとめています。
以上です。
















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