今週の新興プロダクトまとめ 9/28〜10/4:事務はAIへ

今週の新興プロダクトまとめ

2026年9月28日(月)から10月4日(日)までの一週間に世に出た、新しいプロダクトを振り返ります。

スタートアップが出したもののうち、仕事や暮らしの詰まりを取るものを選び、出典つきで紹介します。

今週の核は、電話の後処理や書類への転記をAIが引き受け、人は確認と判断に回る作りのプロダクトが続いたことです。

今週は17本と多めで、なかでも電話と営業、建設の現場に向けたものがそろいました。

なお10月4日(日)ぶんは次回にまわします。

先週は、クマの出没情報や商談中の一言、手術室の配置など、現場の人が一人で抱えていた判断を支えるプロダクトを7本紹介しました。

今週の新興プロダクトまとめ 9/21〜9/27:現場を支える

現場の課題を解くもの ——電話、営業、建設、点検、福祉

今週いちばん多かったのはこの型で、9本ありました。

電話と営業

東京の Rabona AI は9月28日、受電と架電を1体のAIが状況に応じて切り替える「ブレンド型AIコールセンター」の提供を始めました。

着信番号から CRM の顧客情報を引いて相手に合わせて話し、予約の受付や SMS の送信、CRM への記録まで通話の中で済ませ、判断が要る電話だけを担当者へ回します。

先行導入したエアコン工事の会社では、設置後フォローの受電の約9割をAIが完結させたと会社は説明しています。

【国内初※】受電も架電も1体のAIが担う「ブレンド型AIコールセンター」を東大発Rabona AIが提供開始。人と聞き分けられない自然な音声で対話し、後処理まで自動化

東京のソリットリンクは9月29日、賃貸管理会社向けのAIコールセンター「SolitCall」の提供を始めました。

設備が壊れた入居者の相談をAIが聞き取って管理会社のルールどおりに案内し、指定業者への連絡と日程の確認まで進めます。

訪問日時や費用をAIが勝手に約束しない設定があり、料金は1部屋あたり月200円(24時間)、夜間だけなら月100円です。

賃貸管理会社向けAIコールセンター「SolitCall(ソリットコール)」の提供開始

9月に設立された東京のリレーションベースは9月29日、法人営業・パートナー営業向けの営業管理「リレーションログ」の正式提供を始めました。

商談メモや名刺をAIが登録案にして人が確かめてから保存し、途絶えた相手は「最後に会ってから何日か」で名指しして知らせます。

案件になる前の関係が担当者の記憶にしか残らず、異動や退職で消えてしまう課題に、入力の手間を減らす側から向き合っています。

打ち込まない営業管理SaaS「リレーションログ」を正式提供開始──話せば、入る。忘れれば、鳴る。

東京の Aitane は10月1日、営業の事務作業をAIエージェントが担う営業管理「Aitane」のβ版を始めました。

スマートフォンのアプリで名刺を読み取り、商談を録音すると文字起こしと議事録ができ、AIグラスで撮った対面の商談からも議事録の下書きを作れます。

外出先の商談を帰社してから入力し直す負担を減らす作りで、運営会社は9月にプレシリーズAで3,000万円を調達しました。

営業AIエージェント「Aitane」、10月1日よりβ版を提供開始

建設と土地

名古屋のプレテリス・ホールディングスは10月1日、工事で出る残土を出す側と受け入れる側をつなぐ「ツチオク」の提供を始めました。

案件を一度登録すると近くの受入先に通知が届き、単価や運搬費、距離を並べて選べます。

土砂受領書などの書類のPDF作成は登録なしで無料で、電話で処分先を探して記録を紙で残す手間を、同じ画面でまとめて減らそうとしています。

料金は取引が成立したときだけで、双方がそれぞれ1m³あたり200円(税別・最低1万円)を払い、運用は愛知県を中心に始まります。

残土の処分先を現場の近くで探せる「ツチオク」、10月1日提供開始 登録無料・手数料は成立時のみ

東京の現場Hubは10月1日、工事会社向けの一元管理「現場Hub」に建設業向けのAIエージェントを加えました。

現場写真からの報告書づくりや原価の集計、見積りと請求書の作成までをAIが進め、データを変える前や社外へ送る前には内容を示して人の確認を取ります。

ChatGPTやClaudeなどから工事案件や見積りを扱えるMCPサーバーも同時に出し、使い慣れた画面のまま事務をAIに任せられるようにしています。

建設業に特化したAIエージェント「現場Hub AI」を提供開始

JAXA発のWHEREは10月1日、衛星データとAIで不動産の仕入れを支える「WHERE」の大型更新 ver.2.0 の順次提供を始めました。

言葉で書いた仕入れ条件をAIが面積や用途地域、ハザードなどの条件に置き換えて候補地を出し、登記や衛星画像の変化から売却につながる動きを知らせます。

市場に出る前の土地を地図と現地で1件ずつ探す手間を、データの組み合わせで減らす方向です。

市場に出る、その前に。不動産仕入れプラットフォーム『WHERE』ver.2.0を提供開始

点検と福祉

東京の設備保全総合研究所は10月2日、設備保全クラウド「EMLink」の点検アプリを刷新しました。

端末の中で動くAIが電波の届かない発電所でも音声や写真での記録を支え、あとでまとめてアップロードできます。

山間部や沿岸部に点在する太陽光・風力発電所で残っていた、紙に書いて事務所で転記する二度手間をなくす狙いがあります。

太陽光・風力ファームの少人数運営に ― 圏外でも止まらない点検アプリ、AI設備保全システム『EMLink』が刷新

神戸のオルデンティアコーポレーションは10月1日、介護・障害福祉・障害児支援の事業所を横断して探せる「オルデン コネクト」を正式に公開しました。

公的なオープンデータをもとに全国の事業所を載せ、家族は専門職への相談から事業所への匿名チャット、見学予約までを1か所で進められます。

自治体でもらった電話番号の一覧に順にかけて相談先を探す負担を、家族と専門職の両方の側から減らそうとしています。

ただし、空き状況を載せられるのは有料掲載の事業所で、標準の並び順も空き状況の更新が新しい順になっています。

福祉プラットフォーム「オルデン コネクト」を正式リリース――介護・障害福祉・児童全ての領域で「探す」と「つながる」を提供し、適切な福祉サービスの提供と利用者確保の両立を支援。

AIで「できない」をなくすもの ——AIに渡す情報、高齢の会員、自分のホームページ

AIを使いたいのにうまく使えない人や組織の側に立つものが、3本ありました。

東京のNexisは9月28日、ナレッジ基盤「Traceity」の正式提供を始めました。

会社として管理すべき業務情報と、その決定の理由や経緯を、提案と承認を通してためていきます。

MCPでClaudeやChatGPTなどに承認済みの情報だけを読ませ、古い資料や散らばった情報を前提にAIが間違える問題を、渡す情報の側から防ごうとしています。

株式会社Nexis、AIに会社を理解させるためのナレッジ基盤「Traceity」の正式提供を開始

東京のMigakは9月29日、シルバー人材センター向けの「シルバーAIプラットフォーム ハナ」の提供を始めると発表しました。

話しかけて使うAIキャラクターやLINEを会員との窓口にし、入会の説明や仕事の紹介、会員の希望と求人の自動マッチングまでを1つの仕組みでつなぎます。

デジタル機器に慣れていない高齢の会員でも、話すだけで入会の説明を受けたり仕事を知ったりできる作りで、墨田区のシルバー人材センターで約5か月の実証を経ています。

シルバー人材センター向け「シルバーAIプラットフォーム ハナ」提供開始

東京のECUは10月1日、AIとのチャットだけでホームページを作って直せる「チャットでホームページつくる君」の正式提供を始めました。

足りない情報だけをAIが質問して20〜30分でサイトができ、公開後は「営業時間を変更して」のようなふだんの言葉で更新できます。

制作会社に頼むほどではないが更新の操作も覚えにくい、店舗や農園など小さな事業者の重さを取ろうとしています。

ECU、「チャットでホームページつくる君」を正式リリース。HPの作成・更新をAIとの会話だけで完結

遅れていた領域を便利にするもの ——自治体の提案書、AIの守り、医療と経理の書類

制度や手作業で回ってきた領域に向けたものは、5本でした。

京都のNovaEdgeは9月28日、自治体のプロポーザル(企画競争)に出す提案書をAIが仮想診断する「提案書くんPlus」の提供を始めました。

募集要項や仕様書、評価基準と照らして直すべき点を該当ページと理由つきで並べ、評価項目に沿った仮想の採点と講評も返します。

結果が出ても何が足りなかったのか分かりにくく、担当者の経験に頼りがちな提案書づくりに、根拠のある振り返りを持ち込もうとしています。

自治体プロポーザルの提案書をAIが仮想評価する「提案書くんPlus」を提供開始。募集要項・評価基準と照合し、改善点を根拠と該当ページ付きで提示

横浜のM-DEEPは9月28日、利用者とAIのあいだに置く防御の仕組み「PIIFirewall」の提供を始めました。

AIに送る前に個人情報やAPIキーなど80種類の情報を見つけて伏せ、返ってきた答えは手元で元に戻します。

受け取る側に仕込まれた不正な指示(プロンプトインジェクション)も止められ、ChromeとEdgeの拡張機能は無料、Proは1席あたり月2,980円と料金を公開しました。

AI の力を、止めずに守る。AI 防御レイヤー「PIIFirewall」提供開始 M-DEEP株式会社

東京のMENTRAは9月29日、精神科・心療内科向けの医療AI「MENTRA」に、診断書などの下書きを作る「AI書類作成」を加えました。

診察や面談の記録から、自立支援医療や精神障害者保健福祉手帳、障害年金の診断書などを医療機関の様式どおりのPDFにし、最後は医師が確かめて確定します。

更新のたびに過去の記録をさかのぼり、同じ内容を別の様式へ書き写す時間を、毎日の記録をためる仕組みの上で減らす作りです。

精神科の申請書類をAIが自動で作成。医療AI「MENTRA」、自立支援医療・精神障害者保健福祉手帳・障害年金などの診断書に対応

東京のエールアカウンティングは10月1日、新リース会計基準に対応したクラウド「Leasy」をリリースしました。

契約書をAIが読み取って根拠の条文とページを示し、迷う点は「要確認」で止めたうえで、計算から仕訳、注記、税務までを1つにまとめます。

2027年4月以後に始まる事業年度から原則すべてのリースを貸借対照表に載せる必要があり、Excelでは追いつかないものの大きな固定資産システムも合わない会社に向けたものです。

公認会計士が設計した新リース会計基準対応クラウド「Leasy(リージー)」をリリース 先行導入プログラムとして、全機能を月額1万円で先着5社に提供

東京のElithは10月1日、AIマネジメントシステムの国際規格 ISO/IEC 42001 の認証取得準備を支える「GENFLUX Governance」の提供を始めました。

AIシステムの登録からリスク評価、規程づくり、教育と内部監査の記録、審査資料の準備までを1つの流れにし、リスクの候補はAIが出して人が確かめます。

担当者と資料に散らばりがちな認証準備の記録を、審査で説明できる形にまとめるためのものです。

株式会社Elith、AIMS認証取得支援ツール「GENFLUX Governance」を提供開始

最後に

今週は、電話の後処理や書類への転記、営業の入力といった、本来の仕事の手前にある作業をAIに任せるものが目立ちました。

どれも最後の確認は人に残す作りで、AIに任せる範囲を決めてから渡す考え方が共通しています。

私は現場の詰まりを取るプロダクトに目が向くので、来週も同じ視点で新しく出たものを追います。

以上です。

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