モデルの退役とは?AIのAPIが使えなくなる日の読み方

モデルの退役とは?AIのAPIが使えなくなる日の読み方

AIのAPIで指定するモデルには、使える期限があります。

Anthropic の公式ドキュメントにある一覧では、Claude Haiku 4.5 の退役予定日の欄が「2026年10月15日より前ではない」となっています(2026年10月15日に確認)。

OpenAI も2026年10月14日に、GPT-4o や GPT-4.1 の一部のスナップショットを2027年1月14日にAPIから外すと告知しました。

退役がどんな段階を踏んで進むのかが分かると、こうした告知を見たときに、いつまでに何をすればよいかを自分で判断できます。

モデルの退役とは

モデルの退役は、提供元が古いモデルの提供をやめ、APIから呼べなくすることです。

英語では retirement や shutdown と呼ばれ、その手前で「使うのをやめてほしい」と知らせる段階が deprecation です。

Anthropic のドキュメントには、退役日を過ぎたモデルへのリクエストは失敗すると書かれています。

古いモデルを残し続けられない理由として、Anthropic は、推論用に公開し続けるコストと手間が提供するモデルの数にほぼ比例して増えることを挙げました。

新しいモデルを出すたびに、どこかで古いモデルを止める判断が要るわけです。

参考: Model deprecations(Anthropic)

Model deprecations

退役までの4つの段階

Anthropic は、モデルの状態を次の4つで表しています。

状態意味
Active全面的にサポートされ、利用が推奨されている
Legacy今後は更新されず、将来 Deprecated になる可能性がある
Deprecatedまだ動くが推奨されない。後継モデルと退役日が示される
Retired使えない。リクエストは失敗する

Deprecated になってもモデルはまだ動くので、告知に気づかないまま使い続けてしまいがちです。

ただし Anthropic は、Deprecated のモデルはActive のモデルより信頼性が下がりやすいと注意書きで述べています。

OpenAI のドキュメントも、ほぼ同じ言葉で段階を分けています。

deprecation を発表した時点でそのモデルは deprecated になり、必ず停止日(shutdown date)が決まるという説明です。

legacy は更新が止まったモデルやエンドポイントに付く印で、いずれ deprecated になると考えてよいと書かれています。

Google の Gemini API では、deprecation は「サポートをやめ、近いうちに shut down する」という告知を指します。

shut down のほうは、モデルが完全に止まり、エンドポイントが使えなくなった状態です。

予告の期間は会社とモデルの種類で違う

退役の前には予告があり、その長さは提供元ごとに決まっています。

提供元予告の最低期間(公式ドキュメントの記載)
Anthropic一般公開されたモデルは、退役の60日以上前に通知する
OpenAI一般提供(GA)のモデルは6か月以上、特化版は3か月以上。preview は2週間ほどの短い予告もありうる
Google(Gemini API)preview は2週間以上前に予告する。latest の中身を破壊的に変えるときは2週間前にメールで知らせる

OpenAI は、安全やコンプライアンス上の理由があるときは、これより早く退役させることがあるとも書いています。

Anthropic の実例を1つ見ると、感覚がつかめるでしょう。

Claude Sonnet 4.5 は2026年9月30日に利用者へ退役が通知され、退役日は2026年11月30日、後継には claude-sonnet-5-5 が示されました。

通知から退役まで61日で、60日以上前に通知するという決まりどおりの間隔でした。

冒頭の Haiku 4.5 は、2026年10月15日の時点でまだ Active で、退役の通知は出ていません。

表の日付は「この日より前には退役させない」という下限で、その日に止まるという意味ではありません。

仮に通知が出ても、そこから60日以上は退役しない決まりです。

参考: Deprecations(OpenAI)

Deprecations | OpenAI API

モデルIDの書き方で影響が変わる

退役の影響を受けるのは、コードに書いたモデルIDです。

Anthropic では、Claude 4.6 世代からモデルIDに日付が付かなくなりました(例は claude-sonnet-4-6)。

この日付なしのIDは「常に最新版を指す名前」ではなく、1つのスナップショットに固定された正式なIDだと公式ドキュメントは説明しています。

更新版が出るときは、別の新しいIDで提供されます。

一方、4.6 より前の世代には claude-sonnet-4-5 のような短いエイリアスがあり、こちらはその世代の最新の日付付きスナップショットを指す便宜上の名前です。

どちらの形でも、モデルIDごとに退役のスケジュールが別々に決まると明記されています。

Gemini API のモデル名には、stable・preview・latest・experimental の4種類があります。

種類例性質
stablegemini-3.6-flash特定の安定版を指し、通常は変わらない。本番向け
previewgemini-2.5-flash-preview-09-2025本番にも使えるが、2週間以上前の予告で退役しうる
latestgemini-flash-latest新しい版が出るたびに中身が入れ替わる
experimentalなし本番向きではなく、提供の状況が変わりうる

latest は名前を変えずに中身が入れ替わるので、コードを直さなくても使うモデルが替わります。

本番で使うなら stable を指定するよう、Google のドキュメントは勧めています。

参考: Model IDs and versioning(Anthropic)

Model IDs and versioning

参考: Models(Gemini API)

Models  |  Gemini API  |  Google AI for Developers

退役に備える手順

Anthropic のドキュメントが勧めている備え方を並べると、次の4つになります。

  • 退役の一覧ページを定期的に確認する
  • 後継モデルで、退役日よりずっと前にテストする
  • 推奨された後継モデルへ、できるだけ早くコードを切り替える
  • 移行で困ったらサポートに問い合わせる

テストの前に、自分がどのモデルをどこで使っているかを洗い出す必要があります。

Anthropic は、Claude Console の Usage ページから CSV を書き出すと、API キーとモデルごとの利用状況を確認できると案内しています。

OpenAI では、モデル一覧のAPI(GET /v1/models)が返す shutdown_date の欄で停止日を確かめられます。

この欄は、停止日が発表済みなら YYYY-MM-DD の文字列、未発表なら null です。

モデルIDをコードのあちこちに直接書かず、設定ファイルや環境変数の1か所にまとめておくと、切り替えが1行の変更で済みます。

質問ごとにモデルを選び分ける仕組みを作っている場合は、その振り分け先のモデルも洗い出しの対象に入れてください。

LLMルーティングとは?質問ごとにモデルを選ぶ仕組み

提供元の退役日に左右されたくないときは、重みが公開されたモデルを手元で動かすという選択肢もあります。

オープンウェイトモデルとは?オープンソースとの違いと利用条件

つまずきやすいところ

退役まわりで見落としやすい点を4つ挙げます。

クラウド経由だと日程が違う

Anthropic の一覧の日付は、Claude API など Anthropic が運営する経路に当てはまるものです。

Amazon Bedrock と Google Cloud は独自に退役日を決めるので、同じモデルでも状態や日付が異なることがあります。

古いエンドポイントが新しいモデルに回されることがある

Gemini API の退役一覧には、gemini-3.7-flash のエンドポイントは止めずに、リクエストを gemini-3.8-flash へ自動で回すという記載があります。

エラーにはならず、コードもそのまま動きますが、答えているのは別のモデルです。

参考: Gemini deprecations(Gemini API)

Gemini deprecations  |  Gemini API  |  Google AI for Developers

モデルIDが同じでも挙動が少し変わることがある

Anthropic によると、モデルIDに対応する重みは固定です。

ただし、リクエストの振り分けや安全のための分類器、サンプリングの処理といった周辺の仕組みは、時間とともに更新されることがあります。

同じIDのまま挙動に小さな違いが出たら、最も考えられる原因はこうした基盤の更新だというのが公式の見解でした。

パラメータも退役する

退役するのはモデルだけではありません。

Anthropic は、Claude 4.7 以降のモデルで temperature・top_p・top_k を既定値以外に設定すると、400 エラーを返すとしています。

Python SDK の v1.0 以降ではこの3つが削除されていて、渡すと TypeError になります。

モデルを新しい世代へ切り替えるときは、リクエストのパラメータもあわせて見直す必要があります。

Anthropic が退役のときに約束していること

Anthropic は2025年11月に、モデルの退役と保存についての約束を公開しました。

一般公開したモデルの重みを、少なくとも会社が存続するあいだは保存するという内容です。

退役するモデルには、自身の開発や使われ方について聞き取りを行い、その記録を残すとしています。

背景には、置き換えの可能性を示された一部の Claude モデルが、評価の場で好ましくない行動をとったことがあると説明しています。

参考: Commitments on model deprecation and preservation(Anthropic)

Commitments on model deprecation and preservation

最後に

モデルの退役は、Active から Legacy、Deprecated を経て Retired へと段階を踏んで進みます。

予告の期間は、Anthropic が60日以上、OpenAI の一般提供モデルが6か月以上と、提供元によって違います。

使っているモデルIDを1か所にまとめ、退役の一覧を定期的に見ておけば、告知が出ても慌てずに済みます。

以上です。

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